Updated May 14, 2025

リーダー全員が外国籍!?カラクル流 “世界で勝てる” グローバルなエンジニアチーム構築の極意

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Manami Turner

Designer

※ Please click here for the English version.

はじめに

グローバルなエンジニアチームを築き、外国籍エンジニアがリーダーとして活躍する組織を作るには、どのようなステップが必要なのでしょうか?

本記事では、エンジニア組織のグローバル化を成功させた企業、株式会社Colorkrew(以下カラクル)の取り組みを深掘りし、その秘訣を徹底解説します。

今回お話を伺ったのは、カラクル代表取締役の中村 圭志さん、CTOのLi Ning(通称:Spike)さん、そして採用リーダーの小柴 貴生さん。

カラクルは、1999年に当時の株式会社CSKと株式会社セガのジョイントベンチャーとして、インターネットサービスプロバイダー事業を目的に誕生しました。その後、ゲーム業界を中心に、クラウドインテグレーション、セキュリティ、受託開発を主軸に事業を拡大してきました。

2015年頃からは自社サービスの開発・販売を開始しましたが、当時は日本語を共通語とする日本人中心のチームでした。

しかし現在では、自社サービスを開発するエンジニアチームのほぼ全員が外国籍であり、さらにそのチームのエンジニアリーダーは全員外国籍という超グローバルな組織へと進化を遂げています。

日本語中心だった企業、カラクルがどのようにグローバルな開発チームへと生まれ変わり、外国籍エンジニアが主体的にリーダーシップを発揮できる環境を整えていったのか。その成功の秘訣を詳しくご紹介します。

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カラクル代表の中村さん(左)、CTOのLi Ningさん(中央)、採用リーダーの小柴さん(右)にグローバル化の取り組みについて伺いました。

仕事をワクワクに変える、カラクルの挑戦

「Color Your Work with Excitement」というビジョンを掲げるカラクル。

座席管理サービスの利用者数で国内No.1を誇るColorkrew Bizや、社内ポータルColorkrew Intra、SNS型の目標管理ツールGoalousなど、HR Tech・総務Tech領域、セキュリティ領域でのSaaS事業を展開。DXコンサルティングも手掛けながら、自社サービスの開発・販売に注力しています。

”働く”をもっと楽しく、もっと効率的にすることに挑戦し続けるIT企業です。

 

外国籍エンジニア採用のきっかけ

2015年、カラクルは外国籍エンジニアの採用を本格的にスタートしました。

当時、日本国内のエンジニア採用市場は激化し、優秀な人材の確保がますます困難になっていました。その一方で、カラクルは海外展開を視野に入れた自社プロダクトの開発を進めており、「日本人だけのチームでは限界がある」という課題に直面していました。

グローバルな視点を持つエンジニアを迎え入れることで、より多様なアイディアや技術力を取り入れ、競争力のあるプロダクトを生み出せると判断。こうした背景から、外国籍エンジニアの採用に踏み切りました。

 

採用初期の試行錯誤 - 失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢が成功のカギ

カラクルが外国籍エンジニアの採用を開始した当初は、「ある程度日本語が話せる人」を優先していましたが、優秀であれば、日本語が話せないエンジニアであっても採用していました。

しかし、当時の社内環境はまだ日本語が主流で、日本語が話せないエンジニアが孤立し、早期離職してしまう課題に直面しました。この問題を受け、カラクルは社内の英語コミュニケーションを推進し、日本語が話せないエンジニアでも働きやすい環境を早急に整備。また、面接時には「英語が得意でない日本人メンバーも多いチーム」であることを正直に伝え、それでもカラクルの事業に共感し、一緒に働きたいと考えてくれるエンジニアを全力で受け入れる姿勢を貫きました。

採用リーダーの小柴さんによると、採用時に特に重視したのは「技術スキル」だけではなく、「チームの雰囲気にフィットし、異文化の中でも歩み寄りながらコミュニケーションを取れるかどうか」でした。

こうした試行錯誤を繰り返しながらも、諦めることなく採用を続けた結果、チームのグローバル化を牽引するキーパーソンとなる外国籍メンバーを採用することに成功しました。彼らの多くはバイリンガルで、日本語が話せないエンジニアの働きやすさを向上させるため、グローバルな組織づくりに積極的に貢献してくれました。

初期メンバーとしてジョインし、当時のグローバル化の推進役となった外国籍エンジニアのうちの1人、Li Ning(通称:Spike)さんは、現在カラクルのエンジニアチームを率いるCTOとして活躍しています。

また、会社としても、外国籍エンジニアたちの声に積極的に耳を傾け、日本文化に馴染みがないエンジニアでも安心して働ける環境を全力で整えたことが功を奏し、徐々に外国籍エンジニアの割合が増加しました。

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カラクルのグローバル採用を推進する採用リーダーの小柴さん

採用戦略の変遷:日本語力不問へ

外国籍エンジニアの採用初期には、人材紹介会社を活用し、日本語が話せる人材を中心に採用していました。しかし、代表の中村さんは「グローバルに通用するサービスを生み出すため、世界で戦えるチームを本気でつくりたい」という強いビジョンを持っていました。そのため、外国籍エンジニアの採用を本格化する4年前の2011年から、グローバル化への方針を打ち出していたそうです。

そして、日本人エンジニアがチームのグローバル化に対応できるよう、英語学習のサポートを推進するなど、チームのグローバル化に向けて準備を進めていました。

組織として徐々に外国籍エンジニアが働きやすい環境が整っていった段階で、日本語力不問のエンジニアを積極採用する方針に転換しました。

その中で、より効率的な採用手法を模索し、口コミからJapan Dev求人サイトを知り、利用を開始しました。Japan Devではエンジニアチームのカルチャーを可視化した企業プロフィールを掲載するなどして、カラクルで働く魅力を積極的に発信しました。その結果、最初の求人掲載から2ヶ月以内にシニアレベルのフルスタックエンジニアを採用することに成功しました。

その後も、Japan Dev経由で10名以上の外国籍エンジニアやデザイナーの採用に成功したことを皮切りに、人材紹介会社から求人サイトを活用した採用手法へ完全に移行しました。

 

初期フェーズの苦労をいかにして乗り越えたか

エンジニアチームのグローバル化を進める際、多くの企業が直面する課題の一つが、「英語が話せる社内メンバーが少ない」「採用リソースが不足している」といった問題です。カラクルでは、これらの課題を克服するために、以下の施策を講じました。

コーディングテストの導入 エンジニアのスキルを客観的に評価でき、有力な候補者だけを面接することができる仕組みを整えました。

エンジニア主導の採用体制へ 面接は外国籍エンジニアが主導し、人事や経営陣は採用活動をサポートする側に回ることで、スムーズな採用プロセスを実現しました。

また、外国籍エンジニアが自ら面接官として関与することで、候補者を選別するだけでなく、エンジニアとしてカラクルで働くイメージをより具体的に伝えられるようになり、ミスマッチを減らすことができました。

これにより、人事メンバーのリソースが限られている中でも、面接の最初から最後まで英語で完結できる体制が整い、より多くの日本語が話せない外国籍エンジニアを採用することが可能になりました。

 

外国籍エンジニアの定着・活躍支援

カラクルでは、外国籍エンジニアが長く働き、活躍できる環境を整えるため、オープンなカルチャーと充実したサポート制度を整えています。

 

オープンでフラットなカルチャー

カラクルの組織は、役割があるだけで階層的な概念のないフラットな環境です。いわゆるCTO以下は「エンジニアマネージャー」という職種は存在せず、各チームには「エンジニアリーダー」という役割があるのみ。エンジニアリーダーもまた、1プレイヤーとしてプロジェクトに関わるため、「人を管理するだけの役職」はありません

さらに、カラクルでは給料・評価内容・経費などの人事的な情報をすべてオープンにしています。透明性を重視することで、従来の会社のように特定の役職付きポジションだけに権力が偏らず、誰もがのびのびと自分の価値を発揮できるカルチャーとなっています。

また、異なる文化的バックグラウンドを持つメンバーが会社の価値観を理解しやすいように、会社のミッション、ビジョン、バリューを英語で公開。新メンバーがスムーズに馴染み、組織全体が一体感を持てるよう工夫しています。

代表の中村さんは、このフラットな組織について次のように語っています。

「フラットな組織を目指したのではなく、効率的で働きやすい環境を追求した結果、フラットな組織が生まれました」

このオープンな組織文化が、国籍や文化に関係なく誰もが働きやすい環境を生み出す大きな要因となっています。

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入社時のサポート

カラクルでは、外国籍エンジニアが日本での生活や業務にスムーズに適応できるよう、銀行口座の開設、住居探しのサポート、リロケーション支援など、入社時のサポート体制を万全に整えています。

また、外国籍メンバーがスムーズに業務に馴染めるよう、経費精算や勤怠管理など働くうえで必要となる説明を一通り英語で受けることができます。また、これらの社内システムはすべて英語と日本語どちらの言語でも利用できる仕組みとなっています。

 

コーチ・メンター制度

採用後は、各チームに1人いるエンジニアリーダーがメンターとして、1-2ヶ月間のオンボーディングを実施しています。オンボーディングのプログラムは、個々の特性やスキルに合わせて個別にカスタマイズし、できるだけ早く活躍できるよう支援します。

そのため、早ければ入社2−4ヶ月以内に昇給してしまうスーパー新入社員もいるようです!

また、個々の成長に応じて、さらにチャレンジングな開発ができる環境にアサインすることを心がけており、場合によっては3-6ヶ月ごとに、新しいプロジェクトへ異動することも行っています。技術スタックをReactとGolangに統一しているため、スムーズな異動が可能です。

さらに、チームリーダーがメンバーのキャリアパスを継続的にサポートし、新しい技術やプロジェクトへの挑戦を促すことで、エンジニアが成長し続けられるよう支援しています。

 

キャリアパス:専門性 vs. リーダーシップ

カラクルでは、エンジニアのキャリアパスを「役職」ではなく「役割」として定義し、マネージャー職を設けず、プレイヤーとしての働き方を基本としながら、専門性を極める道リーダーシップを発揮する道 の2種類を用意しています。

専門性を極める道

高度な技術力を武器に成長し、テクノロジーの最前線で活躍するキャリアパスです。技術者としてのスキルを磨き、プロジェクトの中核を担うことで、エンジニアとしての価値を最大限に高めていきます。

リーダーシップを発揮する道

エンジニアとして手を動かしながらも、チームをまとめ、プロジェクトを推進するリーダーとしての役割を担います。メンバーの成長を支援しながら、組織のビジョンを実現するための意思決定に積極的に関わるポジションです。

リーダーの選び方

カラクルでは、「全力で取り組んだ結果の失敗は前向きに評価する」というカルチャーが根付いています。このため、メンバーの自発的な挑戦を促し、自然とリーダーが生まれる環境になっています。

リーダーは、360度評価を鑑みて、エンジニアのマネジメントチームが抜擢する仕組みになっています。プロジェクトの中でリーダーシップを発揮していくことで、自然と周りから評価され、リーダーになっていくエンジニアが多いようです。

昇進のチャンスは無限大!

経験が浅かったり、新卒からのスタートであっても、チームの中での実績が早期で評価され、早いスピードで昇進していくことができるのが、カラクルの人事制度。

実際に、現経営陣もほとんどのメンバーが20代や30代前半で入社し、数年で経営メンバーに抜擢されています。ちなみに、Spikeさんは30代前半でいちエンジニアとして入社しましたが、4年ほどでCTOになったそうです。

努力と実績次第で誰でも経営ポジションに就ける可能性があり、昇進のチャンスは無限大です。

 

360度のエンジニア評価制度

カラクルでは、評価の透明性を重視し、情報をオープンにすることで、公平な評価体制を実現しています。1人のエンジニアに対して最大7名のメンバーが評価を行い、多面的なフィードバックが得られる仕組みです。

多角的な評価体制

カラクルでは、エンジニアだけでなく、プロダクトマネージャー、デザイナー、ビジネスサイドのメンバーも評価に参加します。縦割りの組織ではなく、小さなスタートアップが社内にいくつも存在するような形で、エンジニア、PM、デザイナー、ビジネスサイドが密に連携しながらプロダクトを開発するため、評価も幅広いメンバーから受ける体制となっています。評価の基準は、テクニカルスキル、リーダーシップスキルなど、明確なガイドラインに基づいて実施されます。これによりメンバーがお互いに適正な評価をすることが可能となっています。

徹底した情報公開

評価結果やフィードバックは全社員に共有しています。

さらに、自社開発のSNS型目標管理ツール「Goalous」を活用し、それぞれの役割や目標、活動を可視化。ガイドラインも公表し、専門性を高めるエンジニアとリーダーシップを発揮するエンジニア、それぞれのキャリアパスを明確にし、公平な評価が行われています。

 

エンジニアの成長を後押しする「学び」の支援

カラクルでは、エンジニア一人ひとりの成長を全力でサポートするため、さまざまな学びの機会を提供しています。

その取り組みのひとつが、隔週で開催される技術セミナーです。社内のエンジニアが集まり、最新の技術トピックを共有しながら意見を交換する場として機能しています。技術セミナーは業務時間内の夕方にスナックなどを用意して実施され、リラックスした雰囲気の中で学べます。エンジニア同士がカジュアルに交流しながら、知識を深められる貴重な機会となっています。

さらに、カラクルでは国内外のテックカンファレンスへの参加も必要に応じてサポートされるため、最新の技術や業界のトレンドを学べます。

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カラクルで開催する技術セミナーの様子

メンバー同士の交流を深める仕組み

カラクルでは、チームを超えたメンバー間の交流を活発にするため、さまざまな施策を取り入れています。

ランチ・ディナー補助制度

メンバー同士の親睦を深めるため、カラクルでは、Go To ランチ、Go To ドリンクという、ランチ・ディナー補助制度を設けています。メンバーが毎回異なれば回数制限なく補助を受けられる仕組みとなっており、普段業務では接点が少ないメンバーと食事をするきっかけとなっているようです。

 

Company Party ー 金曜のオフィスパーティー

カラクルでは、金曜日に「Company Party」と呼ばれるオフィスパーティーを定期的に開催しています。お酒やスナックを囲みながら、メンバーがリラックスして交流できる場となっています。

 

Small Talkセッション ー 言語や文化の壁を超える学びの場

グローバルなチームでは、言語や文化の違いを理解し合うことが重要です。そのため、カラクルでは「Small Talk(スモールトーク)」という学びの場を設けています。

このセッションでは、講師を招き、言語学習を行うとともにお互いの意見を交換することで、日本人メンバーと外国籍メンバーが文化や価値観を共有できる機会を提供しています。英語版と日本語版がそれぞれ週1回ずつ開催され、誰でも自由に参加できます。

このような取り組みのおかげか、カラクルのメンバー同士は非常に仲が良く、協力的な文化が育まれています。

 

毎日フリードリンク制度

冷蔵庫に常時用意されている、ビールやサワーなどのアルコールや、ソフトドリンクについては、Company Partyのときに限らず、毎日就業後二人以上集まったら、をいつでも飲むことができるようになっています。

夜、お酒を飲みながらリラックスして、製品開発のブレストなどをしているチームもよく見かけます。

柔軟な働き方を実現する「自由度の高いワークスタイル」

カラクルでは、エンジニアが自分に合った働き方を選べるよう、柔軟な制度を導入しています。

 

フリーアドレス制で自由な作業環境を提供

オフィスではフリーアドレス制を採用。固定席を設けず、好きな場所で作業が可能です。仕事の内容やその日の気分に応じて最適な環境を選べるため、集中力を高めやすく、チーム間のコミュニケーションも円滑になります。

 

ハイブリッドワークでライフスタイルに合わせた働き方

カラクルでは、オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワーク制度を導入しています。オフィス出社の日も朝から夕方までオフィスにいる必要はないため、例えば、午前中は自宅で集中して作業し、午後からオフィスに移動する、または子どもの送り迎えに合わせて勤務時間を調整するといった柔軟な働き方が可能です。

また、キャリアステージに応じて、出社頻度を調整しています。新入社員のうちは毎日オフィスに出社し、職場環境に慣れる期間を設けます。ジュニアエンジニアの場合は、週3回の出社を求めていますが、ある程度等級が上がると週2回の出社に移行します。実際に、全体の80%以上のメンバーが週2回の出社を基本としています。

 

充実した休暇制度と海外フルリモートワークの導入

カラクルでは、初年度から20日間の有給休暇・特別休暇が付与されるほか、年間10日間海外からのフルリモートワークが可能です。

この制度により、外国籍メンバーは母国への帰省がしやすくなり、大きなメリットとなっています。実際に、多くのメンバーがこの制度を活用しており、帰省するメンバーに便乗して海外旅行を楽しむ社員もいるなど、カラクルならではの楽しみ方が生まれているそうです。

 

外国籍メンバーのリーダー登用

カラクルでは、グローバルなエンジニア組織の構築を進める中で、外国籍メンバーのリーダー登用が当たり前の文化となっています。

現在、プロダクト開発チームは4つに分かれ、すべてのチームのリーダーが外国籍エンジニアです。さらに、CTOであるSpikeさんも外国籍であり、文字通り、外国籍エンジニアがチームの中核を担っています。

この体制により、多様な視点を持つリーダーたちが組織の成長を支え、新しく入社する後輩エンジニアたちがさらに働きやすいグローバル環境となるよう、継続的なアップデートを重ねています。

 

採用時に重視するポイント

カラクルのCTOであるSpikeさんは、オープンでフラットな環境のもと、最先端の技術に挑戦し続けるカルチャーにフィットするエンジニアを採用したいと考えています。そのため、以下の特性を持つエンジニアを積極的に募集されています。

高い基礎力、技術力と成長の可能性

技術への深い理解があり、経験が少なくても成長できる力がある人を歓迎しています。新卒採用も積極的に行っています!

チームファーストの考え方を持つ人

チームとして最高の成果を出すことを重視できる方と一緒に働きたいと考えています。

柔軟性があり、環境の変化に適応できる人

常に進化し続ける開発環境の中で、課題に対して柔軟に対応できるエンジニアを求めています。

コミュニケーションを大切にできる人

自分の考えを発信し、チームメンバーの意見に耳を傾けられる人が、カラクルの文化にフィットします。

実際にカラクルには上記特性を持つエンジニアが多く、技術レベルの高いメンバーが集まり、切磋琢磨し合う良いカルチャーが年々高まっているといいます。

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グローバルなビジネス展開

カラクルは、日本市場にとどまらず、グローバルなビジネス展開を積極的に推進しています。

現在はブラジルに営業拠点を構え、自社SaaSプロダクトの海外販売を進めており、さらに韓国マーケットへの参入も開始し、新たな市場開拓に挑戦しています。

ブラジルに営業拠点を設立したきっかけは、カラクルで働いていたブラジル人営業担当の帰国でした。この機会を活かし、帰国後もリモート体制でカラクルの業務を継続してもらい、ブラジル拠点の設立と現地での販売網の構築を任せました。

このように、カラクルでは海外展開において、外国籍メンバーのネットワークを最大限活かしています。彼らの知見や人脈を活用することで、現地の市場環境を深く理解した戦略の策定や文化的な違いを考慮した柔軟なアプローチ、スムーズなコミュニケーションが可能となっています。

 

グローバルな開発体制

カラクルの開発組織は、グローバルなエンジニアチームを前提とした組織構造となっています。

現在の開発拠点は東京のみですが、将来的には海外にも開発チームを設立する可能性があります。その際も、オフショア拠点としてではなく、国内・国外すべての開発メンバーが英語を共通言語として開発を進める「1つのチーム」となる予定です。

代表の中村さんは、グローバルで1チームであることのメリットについて次のように語っています。

「たとえば、異なる時間帯のメンバーがシームレスに連携することで、柔軟な開発体制を構築することができ、プロジェクトの進行スピードを最大化することができますし、実際に各ローカルマーケットの中にいることで、製品や機能に関しての新しい気づきを得ることができるようになります。」

エンジニアチームのグローバル化により、沢山のメリットが生まれます。

 

日本人エンジニア向けのサポート

カラクルでは、エンジニアチームのグローバル化に向け、日本人メンバーが外国籍エンジニアとスムーズに働ける環境を整えるためのサポートを長年にわたり実施してきました。その取り組みを詳しく紹介します。

 

会議の中からサポート

英語環境への適応を支援するため、英語会議の際には「英語サポーター」を導入しました。日本人メンバーが困ったときに適切な英語表現をサポートし、会議後にはリアルタイムでフィードバックを実施。これにより、業務の中で「生きた英語」を学ぶ機会が増え、チーム全体の英語力向上につながりました。

 

実践的な英語トレーニングと異文化交流の促進

グループ英会話、個別マンツーマンレッスンの提供など英語力向上を目的としたさまざまな取り組みも実施しました。

また、異文化コミュニケーションを楽しみながら英語を学ぶため、外部から講師を招き、「Small Talk」セッションを開催。

さらに、経営メンバー向けの英語レッスンはもちろん、当時在籍していた社員全員を対象に、毎週2時間、2名ずつのグループでリスニングとスピーキングのレッスンを徹底的に行いました。

 

英語力向上のための目標設定

英語学習の指標として、まずTOEIC730点を目標に設定。基礎的な読解力を身につけた後、スピーキング力向上を目的としてCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を活用し、各メンバーに具体的な目標を設定しました。その結果、カラクルの過半数がCEFRのB2レベルを達成するという成果を上げました。

 

英語学習支援制度

日本人メンバーの英語力向上を支援するため、以下のような経済的サポートを提供しました。

  • TOEIC・スピーキングテスト受験料補助

  • TOEIC900点・730点以上で3万円支給

  • スピーキングテストC1クリアで5万円支給

このようなインセンティブ制度により、日本人メンバーのモチベーションを高め、英語スキルの向上を促進しました。

 

英語が当たり前の環境へ

このように、TOEICやCEFRによる明確な目標設定に加え、実践的な英語トレーニングを数年にわたって実施した結果、日本人メンバーの英語力は大幅に向上しました。そのため、すでにSmall Talk以外の英語学習支援は終了していますが、自主学習の半額を補助する制度は継続中であるため、学習を続ける人はその制度を活用して勉強しています。

現在のカラクルでは、「英語で働くことが当たり前」。そのため、評価制度においても、英語で仕事が問題なくできることが前提です。

「日本語ができなくても給与は下がらないが、英語ができないと給与が下がる」

という、まさに超グローバルな環境が確立しています。

 

カラクルが目指すグローバル化とは

現在、カラクルでは全職種のうち4分の1以上が外国籍であり、国籍は15ヶ国以上に及びます。エンジニアチームは約40名、そのうち半数程度が外国籍メンバーです。特に自社サービスを開発するチームでは、ほぼ全員が外国籍エンジニアという環境になっています。

カラクルが目指すのは、単に「外国人を採用する会社」ではなく、多様なバックグラウンドを持つ外国籍メンバーが活躍し、意思決定までできる組織です。日本企業において、外国人エンジニアを採用しても意思決定層は日本人のままというケースはよくありますが、カラクルでは外国籍エンジニアがリーダーとて、組織の中心で活躍しています。

さらなるグローバル化をどう進めるか?

カラクルが目指す組織のグローバル化のゴールは、ただ外国人の採用数を増やすことではありません。「真のグローバル企業」として、経営レベルから組織全体の多様化を進めることを目指しています。

経営チームのグローバル化

現在、カラクルの経営メンバー6人のうち5人は日本人。しかし、今後は外国籍の経営陣を増やしていきたいと考えています。グローバル視点で経営を行い、世界で成功できる企業となることを目指しています。

ビジネスサイドのグローバル化

現時点では、ビジネスサイドのメンバーの9割以上が日本人ですが、今後はビジネスサイドにも外国籍メンバーを積極的に採用していきたいと考えています。エンジニアチームだけでなく、ビジネスサイドにおいてもグローバルな視野を持つ人材が活躍することで、世界で戦えるチームになると考えています。

 

カラクルに学ぶ、エンジニア組織グローバル化のヒント

最後に、日本企業がグローバルなエンジニアチームを構築する際に重要なポイントを、カラクルの事例をもとに整理します。

外国籍エンジニアは「労働力」ではなく、コアメンバーとして迎える

近年、多くの日本企業が外国籍エンジニアの採用を進めています。しかし、実際には人手不足を補う「コードを書く人」として扱われ、経営や意思決定の場に関与できないケースも少なくありません。また、企業文化やビジネス慣習への適応を外国籍エンジニアに一方的に求めるケースもあります。

カラクルは、こうした従来の枠組みを取り払い、外国籍エンジニアが事業の推進役となる環境を整えることで、真のグローバル組織を実現しています。

カラクルのグローバル化の取り組み:

  • 情報を徹底的にオープンにする:給料・評価内容・経費などの人事的な情報をすべて公開

  • 社内の公用語を英語にする:英語を共通言語とすることで、言語の壁をなくし、全員が対等に議論できる環境を整備

  • 透明性の高い評価制度を整備する:エンジニアの成果が正当に評価される仕組みを構築

  • 外国籍エンジニアをリーダーに登用する:技術力とリーダーシップを兼ね備えた外国籍エンジニアが、組織の中核を担う

  • 柔軟な働き方を導入する:リロケーション支援、フレックス制度、リモートワーク、母国への帰省休暇など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが快適に働ける環境を提供

「諦めない」姿勢がグローバル化成功の鍵

カラクルのグローバル化は、一朝一夕に実現したものではなく、挑戦と失敗を繰り返しながら進められてきました。

カラクルの経験から学べるポイント:

  • 最初から完璧を求めない:既存メンバーの英語力が十分ではなくても、まずは英語でのコミュニケーションを始め、実践しながら学ぶ姿勢で望む

  • バイリンガルエンジニアを採用:初期段階では、日本語と英語の両方を話せるバイリンガルエンジニアを採用し、外国籍エンジニアと既存の日本人メンバーの橋渡し役として活躍してもらうことで、スムーズな組織の変革を促進する

  • 失敗を恐れず継続する:一度の失敗で諦めず、試行錯誤を繰り返す

カラクルが実践してきたのは、「まずはやってみる」→「試行錯誤しながら改善する」→「グローバル化を継続する」という粘り強いプロセスです。そして、情報をオープンにし、誰もが納得し活躍できる仕組みを整えることで、外国籍エンジニアがやりがいを持って働ける環境を築いてきました。

カラクルのように、外国籍エンジニアが組織の中核として活躍する企業が増えれば、日本企業が世界で成功するチャンスも広がります。そのような企業は、優秀なグローバルエンジニアにとって魅力的な職場となり、多様で優秀な人材が次々と集まる好循環が生まれるでしょう。

優秀なエンジニアが「日本で働きたい」と思えるグローバル組織を目指す企業が増え、カラクルのような成功事例が増えていくことを願っています。

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この記事が、エンジニア組織の英語化やグローバル化に挑戦する日本企業にとって、何かしらの参考になれば幸いです。

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