Updated November 22, 2023

株式会社メルカリを退職しました

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Eric Turner

Founder of Japan Dev

これはなにか

退職エントリーである。

先日、約3年間勤めた株式会社メルカリを退職した。

入る前から結構いい会社だと思ってたけど、実際に入ってみて期待以上に素晴らしい会社だった。

なのでそこでやったことと、これからやっていくことを軽く紹介したいと思う。

目次

メルカリの前は何やっていたのか

僕は外国人だから意外かもしれないけど、メルカリは経験したことがある日本のIT企業の4社目だ。

生まれも育ちもアメリカ。大学までアメリカに住んでたけど卒業してすぐ来日してエンジニアとしてのキャリアを日本でスタートした。

日本でしか働いたことがないので、日本のIT業界しか知らないアメリカ人のエンジニアだ。

メルカリに入社する前の働いてた会社は以下の通りだ:

  • VASILY (現ZOZO)
  • Gunosy
  • Quipper

そう、ずっと日本のベンチャー企業でエンジニアをやっていた。基本的にバックエンドエンジニア、もしくはフルスタックエンジニアとして働いていた。

プログラミング言語はRubyがメインだったけど、プロジェクトによってはPython, Javascript, Goなど色々書いていた。

なぜメルカリに入ったのか

メルカリに入社する前に務めていたQuipperも非常に良い会社だった。チームは仲良しだったし、“Bring the best education to all corners of the world” のミッションに心から共感していて、誇りを持ってプロダクトを開発していた。だから、ずっとそこで働いてもいいと思っていたし、転職したけど、Quipperのことは好きだった。

ちなみに、メルカリのことを初めて知ったのは2014年頃だった。その時からイケてる日本のベンチャー企業として注目してたけど、「PHP書きたくないし」と思って応募したことがなかった。

ところが、2018年頃、メルカリのIPOが近づいていた頃にだんだんと世間からの注目が集まってきて、僕も興味が湧いた。だから詳しくメルカリのことを調べることにした。

そして正直すごく驚いた。

当然、自分が外国人なのである程度グローバル色のある会社で働きたい気持ちはあった。 で、気づいたのは:

メルカリは、グローバル企業になるために本気で頑張ってること。

他の日本企業が今までやっていなかったことに大胆に挑戦していた。

  • ストック・オプション制度を導入し、海外のスタートアップと同じように、社員にしっかりとストックを配分して、みんなで成功を分かち合える仕組みにしている
  • 利益だけでなく、グロースに全力でコミットしている
  • 日本企業にはほとんどない、グローバル基準の福利厚生を用意している
  • スキルが高ければ年収の上限は限りなく高く、グローバル基準で良い報酬である。世界のトップ人材を全世界から積極採用している
  • 日本企業では珍しく、USで成功するため全力で挑んでいている

アメリカのイケてるIT企業と同じようなことを実践していて、すごく印象的だった。

特に日本企業は海外進出などのリスクを取らないことが多いと感じていたので、リスクをとって、USでの事業展開にフルコミットしている点は感動した。

「日本のIT業界を次の時代に導く会社かもしれない」と思って応援したくなった。ここで働いたら日本のIT業界の成長にも貢献できるかもしれない、と思った。

なので応募してみた。就職活動じゃなくて、メルカリに応募してみただけ。

そしてオファーをもらったから働くことにした。

メルカリで何をしたのか

はじめはメルカリのJPチーム(日本向けプロダクト作ってるチーム)に入るつもりで応募した。面接も全部JPの人と日本語で行った。

でも、入社日の1週間前にHRからメールが来て、「メルカリUSチームに興味はないか」って聞かれた。

正直、すごく悩んだ。

日本在住だったから、メルカリのアプリは日本向けのプロダクトしか触ったことがなかったし、日本の成長に貢献したい気持ちがあって応募してたから。日英バイリンガルである点もJPチームの方が活かせると思った。

でも結局母国であるUSマーケット向けのプロダクトをシリコンバレーにいる人たちと開発する方が、自分のアメリカ人としての視点が活かせるし、母国語で働いた方が本領を発揮できるかなと思い、メルカリの「US@Tokyo」チームに入ることにした。

US@Tokyoとは

かなり分かりづらいので説明する。

メルカリの世界的な本部は東京の六本木ヒルズにある。

しかし、USにも拠点がある。カリフォルニア州のPalo Altoというところだ。(サンフランシスコの近く)

US@Tokyoっていうのは六本木のオフィスを拠点にして、Palo Altoのメンバーと協力しながら、US向けプロダクトを作っているチームのことだ。

なのでUSプロダクトしか触らないけど、 メガベンチャーである株式会社メルカリの恵まれた福利厚生を享受しながら、アーリーステージのスタートアップカルチャーが根付く、メルカリUSチームで伸び伸びとプロダクトを開発できるのだ。

すごくいい環境だった。 アメリカ人の自分にぴったりだった。

エンジニア

入社してから一年ぐらいは普通にエンジニアをやっていた。

主にGolangを使っていろんなプロジェクトに取り組んだ。検索周りの新機能、改善、新しいマイクロサービスを作ったり、エンジニアとしてスキルアップもでき、とても面白かった。

入社する前は結構PHPを書く必要があるのかと思っていたけど、自分の場合はほとんどGoだったし、あまりレガシーのサービスを触らずにマイクロサービスばっかり開発していたから、ラッキーだったかもしれない。

あと、言語が英語という点でも自分にとってはいい環境だった。

やっと自分の母国語を使って仕事することができてよかった。エンジニアのキャリアをスタートしてから、ずっと日本語で働いていたから、割と慣れてるつもりだったけど、日本語ネイティブの人とのスキルギャップはかなりあった。アウトプットの面でずっと不利だった。

だから、USチームで英語で働いてみたら、コミュニケーションがすごく楽になってびっくりした。

しばらくすると、当時US事業がかなりのスピードで成長していたため、エンジニアマネージャーをやらないかと聞かれた。

マネージャー経験がなかったからすごく迷ったけど、好きじゃなかったらエンジニアに戻ればいいし、どっちにしろいい経験だろうと思って、マネージャーになることにした。

マネージャー

マネージャーの仕事は面白かった。

コードを書くのもすごく好きだから、正直に言うと、またやるかはわからない。 だけど、マネージャーを経験したことに悔いは全くない。

マネージャーの仕事は、ずっとやっていたエンジニアの仕事とは全然違った。なので最初は全然できなくて困った。

1on1で何を話せばいいのかわからなかったし、自分よりずっと経験のある世界レベルで優秀なエンジニアがいるようなチームで、どうやってエンジニアを評価して、その評価の根拠を相手が心から納得できるように説明すればいいのか、本当にわからなかった。 エンジニアの時には気づかなかった、コミュニケーションスキルがまだまだ足りてないと感じた。でも、そのおかげで学びも多かった。

採用面接を担当する機会も多かった。エンジニアに寄り添うだけじゃなくて、ビジネス視点で開発する機能の優先度を考えてチームに説明する機会も多かった。エンジニア時代に全力を注いでた綺麗なコードを書くことだけじゃなくて、チーム全体、ビジネス全体を考えるようになって、幅広く成長できたと思う。

なのでマネージャーをやってみるか悩んでるエンジニアの方がもしいたら、まず挑戦してみることをお勧めする。

例えマネージャーをやってみて、その仕事をやっぱり好きになれなかったとしても、エンジニアとして働いているだけでは、なかなか身につかないスキルを習得できるし、本当に嫌だったらまたエンジニアに戻ればいいだけだ。だから1回ぐらいマネージャーを経験すると、逆にエンジニアとしてのバリューも上がる気がする。ビジネス視点、マネージャー視点を持ったスーパーエンジニアになれるチャンスだ。

マネージャーの経験だけでも1本のブログが書けるけど、ここではあまりフォーカスしたくないから次に進む。

では、なぜやめるのか

結構いい感じに仕事をしていたのに、なぜやめるのか。

まず、メルカリでもう働きたくないと思ったわけではない。メルカリより働きたい会社があったわけでもない。

じゃあ、なぜ。

理由はシンプル:

会社で働くのではなく、自分のビジネスをやりたかった。それだけ。

副業でスタートしたサービスが独立できるレベルまで成長していたので、本気でスケールするために独立することにした。

今もメルカリ以上にいい会社があると特に思ってないし、自分のビジネスがうまくいかなかったら(可能なら)メルカリに戻りたいと思ってる。

でも起業家になるのは今がチャンスだし、全力でコミットしたいと意思決定したので退職することにした。

次に何をやるのか

メルカリには、「この会社なら自分の能力を最大限活かして、日本のIT業界に貢献できる」という思いで入社した。

今回は、似たような思いで、Japan Devというサービスに全力でコミットする。

Japan Devとは?

主にエンジニア、デザイナー、PMなどIT専門職向けの求人サイトだけど、他の求人サイトとはちょっと違う。

違いは、ソフトウェアを重視して、モダンな開発環境があるIT企業のみ掲載可能なことだ。

...モダンな開発とは?

僕は、こう定義している。

日本のIT企業は大きく分けると2種類あると思う。

レガシーな会社とモダンな会社

1つ目は「レガシー」な日本の古い開発スタイルの会社だ。特徴がこんな感じ:

  • SI、受託開発、アウトソーシングなど使ってできるだけ安くシステムを作るのが目的。
  • エンジニアが社内でリスペクトされない。作業者の立場。
  • 残業が多く、就業条件が悪い。
  • ダイバシティがあまりない。
  • 海外展開や汎用的でグローバルな開発環境、最新の技術にあまり興味がない。

2つ目は「モダン」と僕が呼ぶ、これからの時代に合う、世界基準の開発スタイルがある会社だ。

  • エンジニアチームを社内で結成し、自社開発、もしくは世界基準のモダンな方法でコンサルティングしながら、クライアント企業のために開発する。
  • エンジニアがリスペクトされている。裁量を持って働ける。
  • マネージャーやPMになる以外にも、エンジニアのまま専門職としてキャリアアップできる。
  • 残業が少なく、就業条件が良い。
  • ダイバシティを尊重していて、チームに多様性がある。
  • 海外展開、汎用的でグローバルな開発手法、最新技術のキャッチアップに熱心である。

将来的に「モダン」なIT企業の成功事例が増えていって、レガシーなIT企業がなくなっていくのではないかと希望も込めて思っている。

Japan Devは「モダン」な会社のみ掲載可能な、エンジニアのための求人サイトだ。

日本のIT業界の素晴らしさを伝えたい

僕は、日本でエンジニアのキャリアをスタートしてよかったと心から思っている。

モダンな会社で働くことができて、成長するチャンスがたくさんあって、超優秀で面白い仲間に恵まれて、いい経験をたくさん積むことができて、日本のIT業界に対して感謝がいっぱいだ。

だけど、ネットには日本のIT業界、レガシーな労働文化のマイナスイメージを誇張する情報が本当に多いと思う。僕の周りにも日本に興味があるエンジニアは多いけど、そのイメージのせいで来日をやめる人もたくさんいる。

本当に残念に思う。だから僕みたいに良い会社を見つけることができれば、日本でエンジニアとして最高に楽しく働けることを世界中にシェアしたい。

だからJapan Devはモダンな会社の求人しか載せない。

そうやっていい会社を世界に向けてアピールしまくって、日本のIT業界全体のイメージを底上げしたい。

そのために、全力で良いサービスにするためコミットする。


最後まで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございます!

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